こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。
2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、Amazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしていま…した!
していました!過去形です!
2021年の8月6日を最終出社日として(物理的に出社はしていませんが)、Amazonを退職いたしました!
今後、記事冒頭のあいさつをどうしようか、絶賛検討中です。
というわけで、この記事では、「どうしてAmazonを退職したの?」とか、「次はどうするの?」みたいなことを書いていきたいと思います。
Amazonのお給料の仕組みについても触れるので、これからAmazonに入ろうと思っている人にも参考になるかと!
Amazonを退職した理由
Amazonを退職した理由は、一言で言えば「他にやりたいこと、働きたい会社が見つかったから」です。
会社に何か不満があったとかではなく、言わば「無い物ねだり」に近い感じでした。
具体的には以下の3つの理由に集約されます:
- よりスピード感のある環境で働きたかった
- 今までにやったことがない、新しいことに挑戦したかった
- 自分の仕事の成果が報酬にダイレクトに反映される環境で働きたかった
理由①:よりスピード感のある環境で働きたかった
Amazonは非常にスピーディーにものごとを進める会社だと世間では思われているかもしれませんが、それは必ずしも正しくありません。
たしかに、何かをやると決めたらそこに一気に投資し、あっという間に市場を勝ち取るという面はあります。
しかし、ことプロダクト作りに関しては非常に丁寧に進める傾向があり、特に品質とセキュリティに関しては徹底的にこだわります。
世界に数億人のユーザーを持ち、「顧客第一」をモットーとする会社としては非常に納得できる方針ではあります。
「スケジュールのことは気にしなくていいから、とにかくクオリティの高いゲームを作ってくれ」と言われ、自分たちが納得の行くまで自由にモノ作りができる。
これはある意味では非常にめぐまれた環境だと思います。
ただ、僕が働くモバイルゲームの世界は、「まずは一旦ゲームを出してみて、お客さんの反応を見ながら改善を繰り返していく」という作り方が一般的です。
朝リリースしたゲームのデータを午前中のうちにチェックし、午後には改善版をリリースして夕方に結果を見る、みたいなことをずっと行っていた身としては、ちょっとのんびりし過ぎかなと感じていました。
理由②:今までにやったことがない、新しいことに挑戦したかった
僕のAmazonでのミッションは、「過去のモバイルゲームのプロダクトマネジメント経験を活かし、Amazonからモバイルゲームをリリースしてヒットさせること」でした。
これって要するに、「もう自分がうまくできると分かっていることをAmazonでもう一度やる」ということなんですよね。
たしかに、自分のこれまでの経験を活かせるというのは非常にありがたいことです。
それに、実際には当然これまでの繰り返しというわけには行かず、Amazon固有の課題がいくつもいくつもありました。
しかし、それらも乗り越えてしまえば後はやることはそれほど変わりません。
なんとなく、自分があまり成長していないように感じてきていました。
理由③:自分の仕事の成果が報酬にダイレクトに反映される環境で働きたかった
この見出しだけ見ると、まるでAmazonが仕事に見合った給与を払ってくれないブラック企業のように見えてしまうかもしれません。
が、実は逆です。
僕は実際には、仕事の成果に比べてかなりの高給をいただいていました。
これはAmazonのお給料の仕組みによります。
Amazonでは、世の中の多くの会社と同様、年収は
で決まります。
ただし、Amazonの場合、「ボーナス」の部分は現金では基本的に支払われず、Amazon株で支払われます。
「あなたには四半期ごとに○株をあげますね」みたいな形で、事前に定められた株式数が定期的に付与されます。
この仕組みはRSU(Restricted Stock Unit)と呼ばれ、アメリカの企業では一般的に採用されています。
更にAmazonでは、「ベース」部分の上限は全社員一律で決められています(地域によって差はあります)。
この上限金額は比較的低めにおさえられていて(あえて金額は言いませんが、シアトルで4人家族が贅沢しなければなんとか暮らしていけるぐらい)、職位が上がれば年収の大半をRSUが占めることになります。
余談ですが、当然ジェフ・ベゾスのベース給与も同じ額なので、世界有数の富豪の毎月の現金収入が自分と同じかと思うとちょっとおもしろかったです笑。
そしてここがポイントなのですが、Amazonの株価は僕が入社した4年前が$850程度だったのに対し現在は$3,500と、4倍以上に上がっています。
結果的に、僕がまだ大した成果も上げていないにも関わらず、僕の年収は爆上がりしてしまったのです。
これはまあラッキーと言えばラッキーなのですが、逆に、僕がこれからいくら素晴らしい成果を上げたとしても、僕の年収はおそらく上がりません。
Amazonにとってゲーム事業は、はじっこの中のはじっこ。
この事業がいくら上手く行っても、Amazonの株価を大きく動かしはしないでしょうからね(少なくとも数年は)。
まあ、それで良いという人もたくさんいるとは思いますが、僕はそれではちょっとつまんないなと思ってしまったわけです。
Amazon退職後の進路
以上のようなモヤモヤがあり、この1年くらいなんとなく転職のことを意識してエージェントと話をしてきたのですが、なかなかピンとくる会社に巡り会えず…。
そんなとき、2ヶ月前にエージェント経由で話を聞いた会社がめちゃくちゃ面白く、面接もスムーズに進み、あれよあれよという間に転職を決めてしまいました。
こういうときって、決まるときはあっという間に決まってしまうものなんですよね。
転職先
というわけで、Amazon退職後は日本のゲーム系スタートアップにジョインします。
「日本の」と言っても、本社は日本にあるものの、創業者含めてメンバーのほとんどは外国人(なので公用語は英語)。
全社員が世界中に散らばってフルリモートで働いている、おもしろ愉快な会社です。
僕もシアトルにとどまってフルリモートで働きます!
ここに決めた理由
まず、「よりスピード感のある環境で働きたかった」という点については、面接でいろいろと質問をする中で、彼らも以前の僕と同様にスピード感のあるゲーム開発・運用をしていることが確認できました。
「僕と同様」どころか、僕自身も面接中に「え、そんなに速いの?」と驚いた程のスピード感でした。
これは、世界中にメンバーが分散しているため、時差を利用して常に誰かが開発を続けている環境を実現できているのが大きいみたいです。
次に、「今までにやったことがない、新しいことに挑戦したかった」という点についてですが、彼らは単にゲームアプリを作っているのではなく、新しい市場・ゲームプラットフォーム自体を構築しようとしているということに強く惹かれました。
これまでゲームはたくさん作ってきましたが、プラットフォームは作ったことないですからね。
かなり面白そうです。
最後に、「自分の仕事の成果が報酬にダイレクトに反映される環境で働きたかった」という点について。
スタートアップなのでもちろんストックオプションがあるわけですが、会社が上場できるかどうかや、仮に上場できたとして株価がいくらになるのかなどについては、全て自分のこれからの頑張りしだいだと思うと、めちゃくちゃやりがいがあります。
転職後の給与
お給料は、上がったとも言えるし下がったとも言えるし、でもやっぱり上がったとも言えます。
まず、毎月の現金収入は上がりました。
というのは、前述のようにAmaoznのお給料のうち、現金で入ってくるベース部分は比較的低めに設定されているためです。
正直、これより下がったらちょっとやって行けないくらいだったので、ここは上がって良かったです。
次に、ボーナス(RSU)を含めた年収で比較すると、正直かなり下がりました。
新しい会社では現金でのボーナスも出る(かも)らしいのですが、Amazon株の4倍界王拳とは比べようもありません。
ただし、ストックオプションも含めた先々5年間のトータルの期待値で言うと上がりました。
「上がりました」と言っても、ストックオプションなんて上場できなければ紙切れですし、実際上場できない可能性も大いにあると思います。
しかし、「5年位以内に上場できる可能性」や「上場時の株価」など、同業界内のデータを参考に(かなりエイヤで)シミュレーションしたところ、期待値的にはプラスになるという結果になったので、最終的に転職を決めました。
実は、先方から当初提示いただいた条件では期待値がマイナスになってしまったので、交渉をしてかなり上げてもらいました。
リスクを取るのは構わないし、取るべきときには取るべきだと思うのですが、できるだけCalculated Risk(計算されたリスク)を取りたかったのです。
給与交渉の仕方については下記の記事を読んでみてください。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
ちなみに、日本だと大企業からスタートアップへの転職はまだそれほど多くないかもしれませんが、アメリカでは非常に一般的です(下記ツイート参照)。
LinkedInを見ていると、米国人は大企業→スタートアップ→大企業…と、交互に転職を繰り返す人が多い。ボスによると、大企業で資金と人脈を作り、スタートアップで勝負して上手く行けばリタイア、ダメならまた大企業で力を蓄えるのだとか。一度大企業で経験を積むと、また大企業に戻るのも容易らしい。
— ゆう🇺🇸本気のアメリカ就職 (@honkiku1) July 26, 2021
日本でも、大企業とスタートアップの垣根がもっと下がり、スタートアップに挑戦しやすくなるといいなと思います。
まとめ
というわけで、Amazonを辞めてしまいました。
次の会社にまだ入っていないので、これからどうなるか全く分かっていませんが、とりあえず楽しんで行きたいと思います!
ちなみに、「そもそもどうやってAmazon入ったの?」については下記の記事を読んでみてください。
辞めた僕が言うのもなんですが、周りは優秀な人ばかりだし、スケールの大きな仕事に携われるし、待遇も良いし、非常に良い会社ですよ。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]