Amazonシアトル本社の英語面接対策のために僕がしたこと

こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。

2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。

そんな経験を活かし、このブログではアメリカで就職するためのポイント、アメリカでの仕事や暮らし、英語の学習方法などについて日々紹介しています。

 

英語を母語としない日本人にとって、アメリカ企業を受ける際の最大の難関はやはり面接でしょう。

書類選考や筆記試験は、受験英語プラスアルファで何とかなったとしても、面接ではやはりそれなりに高度な英語運用能力が求められます。

この記事では、僕がAmazonのシアトル本社で面接を受けた際に、どのような準備をして臨んだかについてご紹介します。

この方法は、Amazonに限らずどの企業の面接に対しても普遍的に有効だと思うので、これからアメリカ企業を受けようとしている方は是非参考にしてみてください。

 

前提事項

記事の前提として、僕のスペックと応募職種を以下に述べておきます。

僕のスペック

学歴:東京大学大学院修士課程修了(情報系)

職歴:外資コンサル→国内ITベンチャー→シリコンバレーITベンチャー→Amazon

英語力:TOEIC985点。面接の時点ではシリコンバレーにて4年弱勤務。こう聞くとかなり英語できる人のように感じられるかも知れませんが、けっしてそうでもないのが悲しいところ

 

応募職種

Senior Product Manager

エンジニアではなく、プロダクトマネジャーという、製品の戦略や長期ロードマップを策定するポジションです。

エンジニアの場合には、この記事で紹介している質問に加えて、よりテクニカルなスキルを評価する質問がされると思います。

 

Amazonの面接(Onsite Interview)の特徴

面接対策の話に入る前に、Amazonの面接の特徴を簡単にご紹介しておきます。

Amazon Leadership Principlesに基づいている

Amazonには、Amazon Leadership Principlesと呼ばれる、全社員が従うべき、規範のようなものが存在します(下記参照)。

Amazonの面接では、ほぼ全ての質問は、候補者がこれらの資質を満たしているかどうかを確認するものとなります

例えば、Customer Obsession(顧客至上主義)というPrincipleに基づいて、「顧客からのフィードバックによって製品を改善したことはありますか?もしあれば、そのときの状況と、そのときどんな行動を取ったのか教えてください」といった質問がされます。

 

参考:Amazon Leadership Principles

Customer Obsession

Leaders start with the customer and work backwards. They work vigorously to earn and keep customer trust. Although leaders pay attention to competitors, they obsess over customers.

Ownership

Leaders are owners. They think long term and don’t sacrifice long-term value for short-term results. They act on behalf of the entire company, beyond just their own team. They never say “that’s not my job”.

Invent and Simplify

Leaders expect and require innovation and invention from their teams and always find ways to simplify. They are externally aware, look for new ideas from everywhere, and are not limited by “not invented here”. As we do new things, we accept that we may be misunderstood for long periods of time.

Are Right, A Lot

Leaders are right a lot. They have strong judgment and good instincts. They seek diverse perspectives and work to disconfirm their beliefs.

Learn and Be Curious

Leaders are never done learning and always seek to improve themselves. They are curious about new possibilities and act to explore them.

Hire and Develop the Best

Leaders raise the performance bar with every hire and promotion. They recognize exceptional talent, and willingly move them throughout the organization. Leaders develop leaders and take seriously their role in coaching others. We work on behalf of our people to invent mechanisms for development like Career Choice.

Insist on the Highest Standards

Leaders have relentlessly high standards – many people may think these standards are unreasonably high. Leaders are continually raising the bar and drive their teams to deliver high quality products, services and processes. Leaders ensure that defects do not get sent down the line and that problems are fixed so they stay fixed.

Think Big

Thinking small is a self-fulfilling prophecy. Leaders create and communicate a bold direction that inspires results. They think differently and look around corners for ways to serve customers.

Bias for Action

Speed matters in business. Many decisions and actions are reversible and do not need extensive study. We value calculated risk taking.

Frugality

Accomplish more with less. Constraints breed resourcefulness, self-sufficiency and invention. There are no extra points for growing headcount, budget size or fixed expense.

Earn Trust

Leaders listen attentively, speak candidly, and treat others respectfully. They are vocally self-critical, even when doing so is awkward or embarrassing. Leaders do not believe their or their team’s body odor smells of perfume. They benchmark themselves and their teams against the best.

Dive Deep

Leaders operate at all levels, stay connected to the details, audit frequently, and are skeptical when metrics and anecdote differ. No task is beneath them.

Have Backbone; Disagree and Commit

Leaders are obligated to respectfully challenge decisions when they disagree, even when doing so is uncomfortable or exhausting. Leaders have conviction and are tenacious. They do not compromise for the sake of social cohesion. Once a decision is determined, they commit wholly.

Deliver Results

Leaders focus on the key inputs for their business and deliver them with the right quality and in a timely fashion. Despite setbacks, they rise to the occasion and never settle.

 

過去の行動を深掘りする

Amazonでは、「こんな問題が起きたと仮定してください。あなたはどのように対処しますか?」といった、仮想的な質問はされません。

そうではなく、過去に候補者が実際に経験した事柄について、そのとき候補者が取った「行動」を詳細に質問してきます。

フェルミ推定などの論理的思考力を問われるような質問はされず、過去の行動や対応を基準に、Amazonで成功できるかどうかを判断されます

 

参考:STARに基づく回答

Amazonは、それぞれの「行動」に関する質問に対して、STAR形式で回答することを推奨しています。

STAR形式とは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字をとったものです。

Leadership Principlesに関する過去の体験について、状況課題・行動・結果を具体的に実証するのが良いと言われています

 

STARのうちどれか1つでも不明確だと、面接官が鋭く突っ込んできます。

例えば、

「私は〇〇プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを成功に導きました」

のようなばっくりとした回答をすると、

「あなたの組織ではなく、あなた個人としてはどのようなことをしたのですか?あなたが独自に工夫して行ったことは何ですか?それはあなたでなければできなかったことですか?」

といった追加質問が大量に飛んできます。

 

Amazonシアトル本社の面接対策のために僕がしたこと

実は僕はAmazonを受ける前に何社か他の企業も受けていたのですが、全て面接で落ちてしまっていました。

原因としては、

  • 質問に対して適切な回答やエピソードがぱっと思いつかない
  • エピソードを思い出せても、その場で素早くロジカルな英文に構成できない

ということだったのかなと思います。

そこで僕は、Amazonを受ける際には、かなり入念な準備を行って面接に臨むことにしました。

 

面接対策本を読む

まずは面接対策本を読むところから始めてみました。

一般的なプロダクトマネジャーの面接対策本としては、定番の『世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本』を、Amazonに特化した面接対策本としては、『Amazon Product Manager Interview』というそのものズバリな本を、それぞれ熟読しました。

結果としては、どちらもかなり役立ちました。

『世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本』の方は、そもそもプロダクトマネジャーの役割って何だろうっていうことを再確認するのに役立ったし、『Amazon Product Manager Interview』を読まなかったら以下の対策はおそらく行えていなかったので、オファーももらえていなかったんじゃないかと思います。

世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本
4.6

IT系トップ企業のプロダクトマネジメント職に就く方法を詳しく解説
最高のクオリティを持つ製品を世に送り出す仕掛け人=「プロダクトマネジャー」
Google、Apple、Amazon、Facebook… 人気IT企業が考える採用試験に迫る!

本書は「Cracking the PM Interview: How to Land a Product Manager Job in Technology」(原題『プロダクトマネジャーの採用面接を突破する――テクノロジー業界でプロダクトマネジャー職に就くには』)の日本語版です。IT系トップ企業のプロダクトマネジメント(PM)職に就く方法を詳しく解説しています。

Amazon Product Manager Interview
2.5

Amazon Product Manager Interview is a comprehensive book about landing the coveted product management role at Amazon. Learn in a step by step manner how to ace this difficult interview at Amazon.

The approach of this book is to first teach you a chapter and then give you some homework to complete.

This book consists of worksheets, that you can download and combines both theory and practice to help you succeed.

 

Leadership Principlesそれぞれに3つずつ想定問答を用意する

上でも述べたように、Amazonでは基本的に全ての質問はLeadership Principlesの資質の有無を確認するために行われます。

更に、『Amazon Product Manager Interview』によると、ある1つのLeadership Principleについても、角度を変えて複数の異なる質問をされることがあるようです。

例えば、Ownershipという資質を確認するためには、以下のような様々な質問が考えられます:

  • あなたの本来の責任範囲からは明らかに逸脱するような仕事を引き受けた経験はありますか?
  • プロジェクトを進めている途中で、当初予定していた成果が得られそうにないと分かった経験はありますか?
  • 長期目標を達成するために、短期的な利益を犠牲にした経験はありますか?

 

そこで僕は、全てのLeadership Principlesについてそれぞれ3つずつ、合計3×14=42個の想定質問を作成し、それぞれの質問に対する回答をSTAR方式で用意して、全て丸暗記しました

Glassdoor等の会社口コミサイトでは、実際にAmazonの面接を受けた人たちが、聞かれた質問をたまに公開したりしています(本当はダメなんじゃないかな?)。

そういった情報も、想定問答を作成する際には大いに参考にさせていただきました。

 

一般的な想定問答を用意する

『Amazon Product Manager Interview』を読んで、Amazonでは一般的な質問はほとんどされないということは分かってはいました。

しかし、念には念を入れて、以下のような、どこの会社でも聞かれそうな一般的な質問や、プロダクトマネジャーに特化した質問に対しても、想定問答を作成しました:

  • あなたのことについて教えて下さい(これはさすがにAmazonでも聞かれます)
  • なぜ他の会社ではなくAmazonを志望しているのですか?
  • Amazon.comに対して変更を行うとしたら、どのような変更を行いますか?
  • もしジェフ・ベゾスが新しい事業の立ち上げのためにあなたに1000万ドルを出資してくれるとしたら何をしますか?
  • 盲目の方のための冷蔵庫をデザインしてください。
  • 新製品のローンチに対してどのようなアプローチを取りますか?

こちらも、もちろん全て暗記しました。

 

面接の結果

実際に面接を受けた結果ですが、上記の対策はかなり功を奏して、無事内定をもらうことができました。

想定通りの質問がされるということは無かったのですが、なにせ42個もエピソードを覚えていったので、どんな質問をされても、たいていどれかのエピソードでカバーすることができました

これをもっと早くやっていれば、おそらく他の会社でも通ったんじゃないかなと思います。

 

補足1:ライティング課題について

実はAmazonは、ドキュメント作成能力を非常に重視する会社で、上で述べた面接の他に、あるLeadership Principleに基づいた質問の回答を事前にエッセイ形式で提出していました。

僕はスピーキングと比較してライティングの方が得意だったので、こちらの方も評価に大きくプラスに働いたようです。

ライティングの強化方法については、下記の記事をご参照ください。

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補足2:転職エージェントの活用

就職活動の際には、転職エージェントを上手に活用すると様々な面で転職を有利に進められます。

面接においても彼らは非常に有用です。

僕がお世話になったエージェントは各企業・ポジションの面接の傾向を把握しており、「面接前にこの資料を読んでおいてください」、「応募先企業のプロダクトのSWOT分析をしてみましょう」など、個別具体的なアドバイスをたくさんくれて非常に助かりました。

 

また、面接で落ちてしまった場合にも、応募先企業にダメだった理由を根掘り葉掘り聞いてくれたため、その反省を次の面接に活かすことができました。

転職エージェントを通さないと、「ダメだった理由」なんてなかなか教えてくれないんですよね。

転職エージェントの上手な活用の仕方については、下記の記事を読んでみてください。

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英語面接の想定問答集とか無いのー?

僕が実際に作成した想定問答集は、下記のnoteで絶賛公開中です!

note(ノート)

こんにちは。ゆうです。 このnoteを開いていただき、ありがとうございます! 僕は現在、Amazonのシアトル本社…

英語面接対策以外にも、僕が実際に使用したレジュメをサンプルに使ったレジュメの書き方や給与交渉の仕方など、以下のようなノウハウが詰まった、海外就職攻略の決定版となっています!

是非一度覗いてみてください!

1. アメリカ企業の採用プロセス
・応募
・書類選考
・フォンスクリーニング(電話面接)
・課題
・オンサイトインタビュー(対面での面接)
・内定&給与交渉

2. レジュメの書き方
・履歴書とレジュメの根本的な違いを理解しよう
・僕が実際に使ったレジュメを公開します
・フォーマットの選び方
・レジュメの構成
・各セクションの書き方
・カバーレターの書き方

3. フォンスクリーニング対策
・フォンスクリーニングの目的と種類
・フォンスクリーニング対策のために僕がしたこと

4. オンサイトインタビュー対策
・Amazonの面接の特徴
・オンサイトインタビュー対策のために僕がしたこと
・実際に作成した想定質問集
・実際に作成した回答例
・Amazon以外の会社のオンサイトインタビュー対策

5. 給与交渉の仕方
・日本人が犯しがちな間違い
・給与交渉の手順
・僕が行った給与交渉の例

6. ビザ取得戦略
・ビザとは
・アメリカの主要なビザの種類
・アメリカ以外で働くという選択
・ビザの取得は戦略が大事

 

まとめ

以上まとめると、以下のようになります。

  • 英語能力にハンディキャップのある日本人が、面接の場でいきなり英語で質問に答えるのはかなり厳しい。
  • 事前にさまざまな種類のエピソードを整理して暗記しておくことで、ほとんどの質問に対しては回答することができる。
  • 実際の想定問答集はnoteにて絶賛公開中!

 

英語面接は確かに緊張しますし、ノンネイティブにとっては非常にハードルの高いものであることは間違いありません。

しかし、「もうこれ以上は準備できない」と自信を持って言えるぐらい入念に準備していけば、必ず攻略できます。

がんばりましょう!

 

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