こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。
2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
そんな経験を活かし、このブログではアメリカで就職するためのポイント、アメリカでの仕事や暮らし、英語の学習方法などについて日々紹介しています。
今回は、ちょっとお金の話をしようと思います。
具体的には、転職活動をしてめでたく内定をもらったとき、
- 提示されたお給料をそのまま受け入れてしまうのはめちゃくちゃもったいないから、絶対に給与交渉した方が良いよ
- じゃあ具体的にどうやって交渉を進めればいいのかな
という話をします。
そのまま使える英語の例文も併せて紹介するので、これから海外就職や外資就職をしようと思っている人には特に有用だと思います。
「そもそも内定をゲットするには?」という人は、以下の記事をどうぞ。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
絶対に給与交渉すべき3つの理由
日本では、転職時の給与交渉ってまだそれほど一般的には行われていないんじゃないかなと思います。
実際、僕も日本で転職をしたときには、先方の提示額をそのまま
「ありがとうございます!がんばります!」
と受け入れていました。
今思うともったいないことをしたと思います。
結論から言うと、給与交渉は必ずした方が良いです。
特に海外就職や外資系企業への就職であれば、なおさらです。
失うものは何もありません。
理由①:給与交渉をしたからという理由で内定が取り消されることは無い
大丈夫です。
僕が知る限り、給与交渉をして内定が取り消されたという例は聞いたことがありません。
内定を出したということは、企業側はあなたのことを本気で欲しいと思っています。
先方は、あなたに内定を出すまでにかなりの時間とコストをかけてきています。
そして、おそらく他の採用候補者には既に断りの連絡を入れてしまっているはずです。
このため、多少給与アップを要求したからといって内定が取り消しになるようなことはまずありません。
特に海外の場合、採用側も内定者が給与交渉をしてくることは十分に想定しています。
このため、最初のオファーではあえて低めの給与を提示してくるという話も聞いたことがあります。
理由②:給与は入社後より入社前の方がはるかに上げやすい
本当に上がるといいんですけどねー・・・(遠い目)
僕の経験上、給与アップは入社前の方がはるかに容易です。
僕も入社前に交渉をして、給与を当初提示額よりもかなり大幅に上げてもらったことがあります。
あの昇給を入社後にしようと思ったら、恐らく数年はかかったと思います。
(数年かけても難しかったかもしれません)
理由③:給与を上げた方が面白い仕事ができる
まず、「高い給与を得るためにはそれだけきつい仕事をしなければいけない」という発想は捨てた方が良いです。
世の中には給与が高くやりがいもあり、しかもワークライフバランスも申し分ないという仕事が山のようにあります。
僕の経験では、高めの給与で入社するとその分期待値が上がり、初めから高度な仕事を振られたり大きな裁量を持たされることが多いように感じます。
「面白い仕事をする」という観点からも、交渉で積極的に給与アップを狙った方がいいですね。
そして、その経験は次の就職活動でも確実に有利に働き、より高い給与を目指しやすくなります。
給与交渉の手順
給与交渉の流れは、おおむね以下のようになります。
- 内定の連絡が来る
- オファーレターを受け取り、吟味する
- こちらの希望を伝える
- オファーレターを修正してもらう
- オファーレターを受け入れる
ステップ①:内定の連絡が来る
内定の第一報は、メールではなく採用担当者から電話で来ることが多いです。
「おめでとうございます!チームで検討を重ねた結果、あなたを〇〇ポジションに受け入れたいと思います」と。
で、そのあと「基本給は$XXXで、RSUがXXXで、サインオンボーナス(入社準備金的なもの)が$XXXで・・・」と、給与や福利厚生などが早口で(たぶん普通のスピードなんでしょうが、純ジャパには十分早口に聞こえます)伝えられます。
言っている内容があまり聞き取れなかったとしても大丈夫。
まずは感謝の意を伝えましょう。
例えば、
Thank you for the offer! I’m really happy to receive your call!
みたいな感じです。
伝えられたオファーの内容が(仮に聞き取れたとして)良くても悪くても、その場で交渉をしたり、ましてやオファーを受け入れるようなことは絶対にしないように。
終始ポジティブな姿勢を見せつつ、オファー内容を書面でくれるよう依頼しましょう。
依頼の仕方としては例えば
I’d like to make a good long-term decision. Can you send me an email with all the details? I’ll get back with you by the end of the week if it works for you.
みたいに伝えればいいと思います。
ステップ②:オファーレターを受け取り、吟味する
オファー内容を書面でくれるよう依頼すると、恐らく「オファーレター」というものがEメールで届きます。
これには採用されるポジションや就業開始日、給与や福利厚生など、オファーの諸々が全て記されています。
まずはこのレターをじっくりと吟味し、基本給やボーナスなどの各項目について
- オファーされた内容
- 現職での内容
- 自分の希望
- 提案の正当性
- 妥協ポイント
を一覧にしてみましょう。
基本給を例に取ると、以下のようになります:
- オファーされた内容:$135,000
- 現職での内容:$140,000
- 自分の希望:$145,000
- 提案の正当性:現職の給与額およびGlassdoorでの調査結果
- 妥協ポイント:$140,000(現職のまま)もしくはサインオンボーナスでカバー
ボーナス、サインオンボーナス(入社準備金的なもの)、有給日数やその他の福利厚生などについても、これと同様に一覧にしていきます。
これは、単純な給与の額だけでなく、その他の項目も合わせて総合的に判断するためです。
ステップ③:こちらの希望を伝える
自分の希望内容が整理できたら、それを先方に伝えましょう。
電話でもいいですが、構成をじっくり練ることができるEメールの方がいいんじゃないかと思います。
自分の希望する内容と、それが妥当だと考える理由を、プロフェッショナルらしく丁寧にかつロジカルに伝えましょう。
例えば給与額のアップを依頼するのであれば、
I was just wondering if you might be flexible on that salary figure. It was a little lower than I had expected.
みたいに切り出し、
Taking my current salary and research on glassdoor.com into consideration, I was expecting the offer to be around $145,000. Please refer to the numbers I got from glassdoor.com below.
みたいな感じでこちらの希望額とその理由を伝えます。
Eメール送信後、先方からフォローアップの電話が来ることも多いので、口頭でも説明できるように準備しておきましょう。
ステップ④:オファーレターを修正してもらう
こちらの希望を伝えたら、先方に一度持ち帰って検討してもらいます。
たいてい数日以内にはオファーレターの改訂版が送られてくるので、それを再度吟味します。
このとき、もしこちらの希望が通らなければ、それに代わる代替案を提示します(次の章で詳しく説明します)。
先程の給与額アップの例の続きだと例えば、
If it’s difficult to change the salary, which I understand, could we discuss the possibility of a sign-on bonus as a bridge until the first performance review?
のようになります。
このプロセスを、双方が合意できるまで繰り返します。
ステップ⑤:オファーレターを受け入れる
納得できるオファーレターがもらえたら、ようやくオファーレターを受け入れます。
I really appreciate your willingness to work with me. The offer letter looks perfect!
みたいにお礼を伝え、オファーレターにサインして返送しましょう。
これで就職活動もようやく一区切りです。
お疲れさまでした。
給与交渉のポイント
上に挙げた給与交渉の流れの中でもすでに登場しましたが、給与交渉のポイントを3つほどお伝えしておきますね。
ポイント①:提案の正当性を明確に説明しよう
なぜ自分はその提案が妥当だと思うのか、その正当性を明確に説明しましょう。
これは相手(採用担当者)を説得するために必要なだけでなく、採用担当者がその変更の承認を上長などから得るためにも必要になります。
例えば僕が給与交渉を行ったときには以下のような説明をしました。
- 現在、競合他社であるA社からもオファーをもらっている
- A社の提示している給与はトータルで$XXXである
- A社の勤務先の都市との物価の差を考慮し、トータル$XXXにして欲しい
正当性を説明するためには、基本的に比較対象を用意するといいです。
それは現職でもいいし、上の例のように同時に受けていてすでにオファーをもらっている他社でもいいし、あるいはGlassdoor等でリサーチした結果でも構いません。
何も比較対象無しに交渉を行うのは、ちょっと分が悪いですね。
ちなみに言うまでもありませんが、競合他社からのオファーはかなり強い手札になります。
ポイント②:代案を用意し、攻めやすいところを攻めよう
給与や福利厚生は、比較的変えやすいところと変えづらいところがあります。
例えば、有給休暇の日数はだいたい社内一律で決まっていますよね。
自分の現職の有給日数はもっと多いから、自分だけ増やしてくれと言っても増やしようがありません。
こういうときには、自分の本来の希望(この例では有給日数)にこだわるよりも、相手が比較的自由に変えやすいことを代案として示してあげるといいです。
具体的には、ストックオプションやサインオンボーナス(入社準備金的なもの)は一度きりのものなのでけっこう自由に変えやすいみたいですね。
例えば上で挙げた有給日数の例だと、
「私の現職での有給日数は御社より年間5日間多いので、そのギャップをカバーするためにサインオンボーナスを$XXX上げてください」
などと言えば、けっこうな確率で上げてくれると思います。
ポイント③:転職エージェントに交渉を代行してもらうことも検討しよう
給与交渉にどうしても抵抗感を感じる人や、交渉力に自信が無い人は、転職エージェントに交渉を代行してもらうことを考えてもいいかもしれません。
もしそのエージェントがその会社に何人も内定者を出しているのであれば、その会社の給与レンジもある程度把握している可能性があるので、現実的な範囲で最大限のお給料を引き出してくれるはずです。
転職エージェントの報酬は、内定者のお給料をベースに決められることが多いので、彼らも真剣に交渉してくれます。
詳しくはこちらの記事を読んでみて下さい。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
まとめ
以上、給与交渉を絶対にした方が良い理由と、その具体的な進め方を見てきました。
簡単にまとめると以下のとおりです。
- 給与交渉は積極的にすべき。給与交渉をしたことが理由でオファーを取り消されることはまず無い
- オファーの電話が来たときにその場でOKしたり交渉を始めてはダメ。オファーの内容を書面でもらい、じっくり吟味すること
- 交渉はメールで。プロフェッショナルらしく丁寧かつロジカルに、自分の提案の理由付けはしっかりと伝える
- 提案が断られたときの代案も用意しておくと吉。サインオンボーナスなど一度だけ発生するものは、比較的柔軟に対応してもらえやすい
給与交渉は多くの日本人にとって不慣れなことだとは思いますが、きちんと準備すればそれほど恐れることはありません。
自分の価値を最大限評価してもらえるようにがんばりましょう!