路頭に迷わないためのレイオフ入門講座

こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。

2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任し、Amazonシアトル本社への転職を経て、現在はスタートアップでプロダクトマネージャーとして働いています。

そんな経験を活かし、このブログではアメリカで就職するためのポイント、アメリカでの仕事や暮らし、英語の学習方法などについて日々紹介しています。

 

イヌくん
最近レイオフの話をよく聞くけど、うちの会社は大丈夫かなあ?
レイオフされたら一体どうなっちゃうんだろう?
不安で夜も眠れないよ〜

 

最近、TwitterやMetaなど、アメリカの名だたるIT企業が大規模なレイオフを行い、大きな話題になりました。

かく言う僕も、過去に一度だけレイオフに遭ったことがありますし、自分がレイオフされなくても、すぐ隣でレイオフが行われるのを何度も目にしてきました。

そんな経験をもとに、まだレイオフされたことのないラッキーな人たちのために、「レイオフに遭うってこんな感じだよ」「レイオフされたらまずはこれだけはやっておこう」といったことを紹介したいと思います。

 

そもそもレイオフってなに?

 

日本の会社に勤めていると、周りでレイオフが起きることって滅多に無いので、もしかしたら「レイオフってなに?」という人も少なくないかもしれません。

イヌくん
レイオフって普通のクビとは何が違うのかなー?

 

レイオフとは、従業員のパフォーマンス上の理由ではなく、ビジネス上の理由により、会社が複数の従業員をまとめて解雇することです。

ビジネス上の理由としては、事業撤退や縮小、事業所の移転などが一般的です。

日本で言う「リストラ」とほぼ同義と捉えていいと思います。

 

規模は大小様々で、数人程度の小規模なものから、数千人に及ぶものまであります。

つい先日(2022年11月)も、Twitterが全社員の半数に及ぶ大規模なレイオフを行い、大きな話題になりました。

ここまで大規模なものであれば、メディアでも大きく取り上げられますが、数十人程度の小規模なものであれば、公式な発表をすることもあまりありません。

表に出てこないだけで、アメリカでは毎日のようにどこかでレイオフが行われているのではないかと思います。

イヌくん(汗)イヌくん
アメリカこわい。。。

 

ちなみに日本語で「レイオフ」と検索すると、「将来の再雇用を約束した一時的な解雇のことで、リストラとは違います」などという説明がたくさん出てきますが、これは正確ではありません。

確かにレイオフはもともとは「一時的な解雇」という意味でしたが、現在アメリカで行われているレイオフのほとんどは永久的な解雇で、いくら待っていても再雇用してくれることはありません(泣)。

 

ちなみに、アメリカではどうしてこんなに簡単に従業員を解雇できるかというと、アメリカの雇用契約のほとんどは、「At-Will雇用」といって、会社側・従業員側のどちらからでもいつでも好きなときに雇用契約を解除できるという契約になっているからなんです。

一方日本では、解雇に関してはかなり厳しい法規制があるため、滅多なことでは従業員を解雇できません。

とは言え、待遇を下げたり転勤・異動させたりなどで退職に追い込むということは行われているらしいですが…。

 

レイオフで起きること

 

通常レイオフは、ごく限られたメンバーを除いて、発表当日まで誰にも知らされることなく準備が進められます。

当日の朝に突然、該当する部門の社員全員を集めた全体ミーティングが開かれ、そこで初めて発表されるというのが、僕が今までによく見てきたパターンです。

なので、朝イチの全体ミーティングが突然スケジュールされると、とりあえずみんなざわつきましたね(笑)。

レイオフの規模が大きい場合には、メールで一斉アナウンスされてから、部門ごとに集まって説明する、みたいなスタイルが一般的かもしれません。

 

その全体ミーティング(もしくはメール)では、レイオフが行われるということは発表されますが、誰がレイオフされるのかについて公表されることはあまり(というかほぼ確実に)ありません

個人のプライバシーに配慮して、「各自の今後の配置は個別にメールで連絡します」と発表されることが多いです。

とはいえ、レイオフ対象となった人は会社に来なくなるので、明らかに分かりますけどね

 

イヌくん
レイオフされたら、もうその日でバイバイになっちゃうの?

発表から解雇までの流れは、ケースバイケースです。

僕がよく見てきたのは、発表当日が最終出社日となるケースです。もうその人の仕事は無いわけなので、出社してもらっても仕方ないですしね。

また、情報漏えいを防ぐために会社のデータベースなどにアクセスできなくするという意味もあります。

 

一方で、引き継ぎや事業のクローズ作業のために、数日〜数週間会社に残される人がいることもあります。

「少しでも仕事が続けられてありがたい」という見方もできますが、既に仕事を失うことが分かっている状況で仕事を続けるのってそれなりに辛いんじゃないかなと思います。

僕だったら早く次に向けて就職活動をしたいと思いますね。

 

また、会社によっては一定期間(例えば2カ月間)雇用を継続するが、その間は出社してもしなくてもどちらでもよい、という処置をすることもあります。

その猶予期間中に、同じ会社内で別のポジションを探したり、社外で就職活動をしていいよということですね。

Amazonは、アメリカ企業にしては珍しく(?)、一度採用した従業員にはできるだけ長く会社に残って働いてもらいたいと考える会社らしく、このような措置を取っていました。

実際、レイオフされたけど別の部署に残ることができたという人を何人も見てきました。

 

どんな人がレイオフされるの?

 

イヌくん
やっぱり、日本のリストラみたいに、仕事ができない人から切られていくのかなー?

「レイオフなんて使えない奴が切られるだけだろう?俺は優秀だから大丈夫さ」

なんて思っている人、そんなことはないんですよ。

レイオフでは、いくら優秀な人であっても、その人の就いている仕事(ポジション)が無くなった時点で容赦なく首を切られます。

これにはアメリカの人材採用の考え方が関係していると思うので、軽く説明しますね。

 

アメリカでは、採用は人ではなくポジションに基づいて行います。

日本の新卒一括採用のように

「とりあえず人をまとめて採って適性に応じて仕事を与える」

というアプローチではなく、

「この事業でこのような役割が必要で、それにはこのような資質やスキルを持った人を採用しなければならない」

という、パズルのピースをあてはめていくようなアプローチをとります。

 

「彼は失うには惜しい人材だから、彼に適したポジションを作ろう」

みたいなことは基本的にはしません。

 

もしレイオフされてしまったら?

 

もし仮にレイオフされてしまったとしても、その日から収入が途絶えて路頭に迷ってしまうみたいなことはまずないので、そこは安心してください。

レイオフの補償としてseverance package(解雇手当。単にpackageと呼ぶことが多いです)が支給されることが多く、パフォーマンスや勤続年数などに応じて給与の数カ月分が支払われます。

例えば、Metaの1万1千人のレイオフでは、16週間プラス2週間×勤続年数分の給与(例えば、3年間勤務していたら22週間)が支払われたそうです。

(ちなみにこれはけっこう手集めの解雇手当だと思います。さすがMeta)

未取得の有給休暇も買い取ってもらえるので、もし次の就職先が早く見つかれば、レイオフによってかえって懐が潤うといったこともあります。

 

レイオフされたとき、すぐに忘れずに行っておきたいのが、失業保険の受給申請と医療保険の手続きです。

失業保険の制度は州によって異なりますが、レイオフによって職を失ったのであれば基本的にはすぐに保険金を受け取れるはずです。

保険金は申請しないと受け取れないので(僕もぼんやりしていたら、数週間分の保険金を無駄にしてしまいました)、レイオフされたらすぐに申請するようにしましょう。

 

また、医療保険の手続きもきちんとしておかないと、万が一の時に人生が“詰む”可能性があります。

アメリカの医療制度は控えめに言っても最悪です。

何かあったときに医療保険に入っていないと、日本より2〜3桁多い医療費を請求されます(例えば盲腸の手術をして2〜3日入院するだけで軽く100万円は請求されますし、脳の緊急手術をしたら3,000万円請求された、みたいなブラックジャック顔負けの世界が待っています)。

イヌくん(汗)イヌくん
アメリカ、マジこわい。。。

会社に所属しているうちは、会社経由で(かつ、保険料を部分的に会社が負担して)医療保険に入れますが、レイオフされるとこれが失われてしまいます。

アメリカは、日本のような国民皆保険制度がないため、解雇されて何もしないと「医療保険に未加入=医療費は全額自費」という非常に恐ろしい状態になってしまいます。

 

個人で民間の医療保険に加入するか、COBRA(Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act; 包括予算調整法)という制度を利用して、退職前の保険の任意継続をするよう、きちんと手続きをしておきましょう。

ちなみに、僕がレイオフに遭ったときにはCOBRAを利用して退職前の保険をそのまま継続したのですが、その保険はけっこう手厚いものだったのか、かなり高額の保険料を支払うことになってしまいました。

今度レイオフにあったら、民間のもう少し安めの医療保険にしようかと思っています。

 

就職活動もすぐに始めよう

 

失業保険や医療保険の手続きと併せて、就職活動もすぐに動き出しましょう。

まずすべきことはレジュメとLinkedInの更新です。

(レジュメの書き方、LinkedInの上手な使い方については下記の記事も参照してみてください。)

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特にLinkedInでは、自分がレイオフに遭ってしまったことをすぐさま投稿しておくといいと思います。

リクルーターから多くの連絡が来たり、友人がリファラルしてくれるかも知れません。

イヌくん(ウーン)イヌくん
そんな、レイオフされたことをみんなに言うなんて恥ずかしいなあ…

アメリカの就職活動ではコネクションは非常に重要なので、「レイオフされたことを公開するなんて恥ずかしい」なんてことを言ってないで、積極的に開示していきましょう。

アメリカではレイオフは当たり前で、「レイオフされたからと言ってその人が仕事ができないわけではない」ということもよく理解されているので、レイオフされたことを公開しても、それが就職活動で不利に働くことはありません

 

面接が決まったら、面接の準備も忘れずに!

前回の就職活動で準備した内容なんて覚えていないに決まってますし、前回の就活からこれまでの間に新しい経験もたくさん積んでいるはずなので、それらのエピソードを棚卸ししておきましょう。

昔の仕事の話をしてもいけなくはないのですが、昔の話ばかりしていると面接官から「この人は最近は何も成果をあげてこなかったのかな?」と思われる危険があります。

面接の準備の仕方については、こちらの記事が参考になると思います。

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まとめ

 

以上、僕の経験にもとづいて、レイオフの実態を見てきました。

海外、特にアメリカで就職すれば、レイオフは避けて通ることはできません

しかし、レイオフを嫌って海外就職を諦めるのはあまりにもったいないです。

レイオフを闇雲に恐れたり嫌ったりするのではなく、内容を正しく理解し、冷静に対処できるようにしましょう。

 

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