こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。
2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
そんな経験を活かし、このブログではアメリカで就職するためのポイント、アメリカでの仕事や暮らし、英語の学習方法などについて日々紹介しています。
さて、僕が現在就いている「プロダクトマネージャー」という職種、最近は日本でも少しずつ認知されつつあるみたいですが、まだまだマイナーな職種じゃないのかなと思っています。
よくある誤解ですね。後で説明します。
これもあるあるですね。後で説明します。
実はプロダクトマネージャーは、アメリカのテクノロジー系企業では現在非常に人気のある(需要がある)職種です。
また、非エンジニア系の職種としては、比較的日本人が就きやすい職種の1つではないかと思います。
この記事では、そんなプロダクトマネージャーの仕事内容を赤裸々に説明していきます。
この記事を読んで、少しでも多くの方がプロダクトマネージャー職に興味を持ち、またプロダクトマネージャーとしてアメリカで就職してみたい!と思っていただけたら幸いです。
プロダクトマネージャーって何?
「プロダクトマネージャーの仕事内容を説明します!」と豪語しましたが、これ実はかなり難しいです。
というのも、プロダクトマネージャーの仕事内容は業界によってかなり異なりますし、同じ業界でも会社が違えば仕事内容もやはり違うし、さらに言えば同じ会社内でも部門やチームによって異なることもあるし、何なら同じチーム内ですら、人によって全く違うことをしていたりします。
そんな状況なので、プロダクトマネージャーの役割を普遍的に定義するのは非常に難しい、というかほぼ無理ゲーなのですが、僕が考えるところのプロダクトマネージャーの役割とは、一言で言うと「プロダクトのビジネス的な成功に責任を持つ人」ですね。
「プロダクトマネージャーはミニCEOである」と言う人もいます。
が、正直この説明ではさっぱり分からないと思うので(笑)、次章では僕の日々の仕事内容を紹介しつつもう少し詳しく説明していきます。
ちなみにさっきから「プロダクト」という言葉を何の説明も無しに使ってきましたが、ここではアプリとかWebサイトとか何かしらのソフトウェアのことを意味しています。
自動車やコンピューターなどのハードウェアにもプロダクトマネージャーはいると思いますが、僕はそのへんは全く分からないので、この記事ではソフトウェアプロダクトに限定して話を進めます。
僕の日々の仕事内容
僕の日々の仕事内容ですが、ざっくり以下の5つです:
- ビジネスモデルの構築
- プロダクトロードマップの作成
- 機能の設計
- ビジネスケースの作成
- データ分析と改善案の策定
ビジネスモデルの構築
ビジネスモデルの構築は、プロダクトマネージャーの最も重要な役割の1つです。
ざっくり言えば、そのプロダクトを通してどうやってお金を儲けるかを考えるということですね。
売り切り型(一旦購入すれば全ての機能が使える、一昔前のソフトウェアで一般的だったビジネスモデル)にするのかフリーミアム型(基本的なサービスは無料で提供し、さらに高度な機能については料金を課金する仕組みのビジネスモデル)にするのか。
売り切り型ならいくらで売るのか、フリーミアム型ならどの機能は無料で提供して、何に対していくら課金するのか、などを検討します。
デザイナーとプロダクトマネージャーの最大の違いはここだと思っていて、デザイナーはそのプロダクトの品質(便利さ、使いやすさ、楽しさなど)を追求する一方で、プロダクトマネージャーは最終的にお金を稼ぐところまで考える必要があります。
プロダクトが全て売り切り型だった頃には、プロダクトチーム(プロダクトを企画・設計・製作するチーム)はビジネスについてあまり意識する必要はなく、誤解を恐れずに言えば、ただ良いプロダクトを作ることだけに集中すれば良かったんです。
プロダクトを売るのは営業やマーケティングの仕事でしたからね。
でも、フリーミアム型のビジネスモデルが普及するにつれて、プロダクトを作る段階からビジネスを意識する必要が出てきました。
そこで、プロダクトマネージャーに注目が集まるようになったのではないかと思っています(僕が勝手に想像しているだけなので、見当外れだったらごめんなさい)。
プロダクトロードマップの作成
プロダクトロードマップとは、そのプロダクトにいつ頃どんな機能を追加するかという中長期的な計画を一覧にしたものです。
これも、ビジネスモデルの構築と並んで、プロダクトマネージャーの最重要な役割の1つですね。
だいたい2〜3年先までのロードマップを描くことが多いです。
ユーザーからのリクエストや業界のトレンド、テクノロジーの進歩などをもとに機能の優先順位を決め、機能間の依存関係やチームのキャパシティも考慮しつつロードマップを作成していきます。
出来上がったロードマップはチームメンバーやステークホルダー(偉い人達)とシェアして合意を取り、これに基づいてプロダクトの開発を行っていきます。
ただし、ロードマップは一度作ったらおしまいというわけではなく、状況の変化に対応してちょいちょい更新していく必要があります。
機能の設計
ロードマップが決まったら、各機能の詳細な仕様を設計していきます。
ここにどの程度関わるかはプロダクトマネージャーによって大きく異なると思いますが、僕個人はけっこうがっつり関わるタイプですね。
現在携わっているプロジェクトに関しては、ほぼ全ての機能を僕が設計しています。
とは言え僕一人の力で全てを決められるわけでも決めるべきでもないので、ユーザーインターフェース(UI)はUIデザイナーと相談しつつ、詳細なロジックやデータ構造についてはエンジニアに助けてもらいつつ、設計を進めていきます。
ビジネスケースの作成
ビジネスケースとは、ビジネスの将来の収益性をシミュレーションしたものです。
広告にいくら投下するとユーザーが何人増えて、そのうち何人が継続していくら使って・・・みたいなモデルを作成し、それに基づいて投資判断をしたりします。
前章で述べたとおり、プロダクトマネージャーは「プロダクトのビジネス的な成功に責任を持つ人」なので、ビジネスケース作りはプロダクトマネージャーなら避けては通れない仕事だと思います。
ちなみに、機械学習などを駆使して複雑で精緻なモデルを作ることもできるとは思いますが、僕個人は偉い人への説明のしやすさを重視してExcelで単純化したモデルを作ることが多いです。
具体的な進め方については、下記の記事を参照ください!
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
データ分析と改善案の策定
プロダクトのローンチ後(あるいはテストローンチ中)は、プロダクトマネージャーは毎日プロダクトのKPIなどの数字を追っていくことになります。
ちなみにKPIを使ったプロダクトの改善の進め方については下記記事を読んでみてください。)
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
直近24時間で何か問題は起きていないか、中長期的なトレンドは健全に推移しているか、問題があるとしたら原因は何かといったことを、アナリティクスデータの分析を通して確認していきます。
必要に応じてマーケットデータの分析をしたり、ユーザーにヒアリング調査をすることもあります。
データ分析のために専門のアナリストをチームに持つこともありますが、アナリストに効果的な分析をしてもらうためにも、プロダクトマネージャー自身がデータ分析についてよく理解している必要があります。
ちなみにうちのチームにはアナリストがいないので、ログの設計からダッシュボードの構築、データ分析まで、全て僕が行っています。
その他のプロダクトマネージャーのお仕事
僕が現在行っている業務内容をざっくり挙げてみましたが、これら以外にもプロダクトマネージャーのお仕事は多岐にわたる可能性があります。
結局、そのチームに現在足りていない機能を柔軟に補う、スーパージェネラリスト的な働き方が求められる職種だったりするんですね。
プロダクトマネージャーが担当することが比較的多いのは以下のような業務でしょうか。
他部署や社外との折衝
社内の他部署や社外との折衝をプロダクトマネージャーが担当することは普通にあります。
例えばプロダクトのビジネスモデルについて法務に確認をとったり、プロモーションをマーケティングと進めたりとかですね。
また、社外の協力会社さんとの契約をまとめるみたいなこともあります。
僕は現在はこういったことは一切していないです。
僕のボス(プロジェクトリーダー的な人)がそもそもこういうことが非常に上手い人なので、全て彼に任せてしまっています。
「プロジェクトの中のことは俺がやるから、外のことはボスよろしく!」みたいな。
そもそもこういった折衝ができるほど僕が英語に自信が無いというのも大いにあります。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメント、主にはプロジェクト内のタスクの進捗管理とかですね。
これをプロダクトマネージャーが担うこともあります。
うちのチームはスクラムを採用しているので、スクラムマスター的な役割になります。
僕は、プロダクトマネージャーの役割は本来「Why(何のために)」「What(何を作るのか)」を考えることで、「When(いつ)」と「How much(いくらかけて)」はプロジェクトマネージャー(会社によってはプログラムマネージャーと呼ばれることも)が、「How(どうやって)」はエンジニアが考えるべきだと思っています。
なので、プロジェクトマネジメントは本来プロダクトマネージャーがすべき仕事ではないと思っているのですが、チームにプロジェクトマネージャーがいなければ、プロダクトマネージャーが代わりに行うことも往々にしてあります。
僕も現在のプロジェクトで、しばらくの間はプロジェクトマネジメントも行っていましたが、最近もう1人プロダクトマネージャーが入ったので、プロジェクトマネジメント系の仕事は全て彼に振ってしまいました。
やりたくないことは人に振る主義です笑。
ちなみに余談ですが、日本で「PM」というと「プロジェクトマネージャー」を指すことが多いですが、アメリカで「PM」というと「プロダクトマネージャー」を指すことの方が(僕の周りでは)一般的です。
日本でもプロダクトマネージャー職がもっと一般的になったらいいなと思ってます。
部下のマネジメント
タイトルに「マネージャー」と付くのでたまに勘違いされますが、プロダクトマネージャーは管理職ではありません。
マネージするのは「人」ではなくて「プロダクト」なんですね。
プロダクトマネージャーはプロジェクトメンバーの上司ではなく、彼らとはあくまで対等な関係なので、評価を盾に言うことを聞かせるなんてことはできません。
あくまで提案の質で動いてもらわなければいけないというのが、難しくもあり面白くもあるところです。
とはいえ、大きいチームだとプロダクトマネージャーが数人いることも普通で、そういうときにはプロダクトマネージャーの部下を持つこともあります。
各々のプロダクトマネージャーがプロダクトやゴールの一部分を担当し(Aさんは継続率の改善、Bさんは売上の向上、など)、彼らの上司が全体の整合を取る、みたいなやり方が一般的ですかね。
もっと詳しく知りたい人は
このように、プロダクトマネージャーの業務内容はかなり多岐にわたり、スペシャリストが求められがちなアメリカにおいては珍しくジェネラリスト的な人材が重宝されるポジションです。
これって実は、ジェネラリスト的キャリアを歩みがちな日本人にはけっこう合ってるんじゃないかなーと思います。
特に、上流寄りのシステムエンジニアやコンサルタントをしている人には、ネクストステップとしてかなり合っているんじゃないかと!
「アメリカで働いてみたいけど、自分はエンジニアじゃないからなー」と諦めていた人には是非チャレンジしてみて欲しいです。
ここまで読んで、「プロダクトマネージャーに興味が出てきた!」とか「もっと詳しく知りたい!」という人は、ぜひ以下の書籍やオンライン講座をチェックしてみてください!
世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本
IT系トップ企業のプロダクトマネジメント職に就く方法を詳しく解説
最高のクオリティを持つ製品を世に送り出す仕掛け人=「プロダクトマネジャー」
Google、Apple、Amazon、Facebook… 人気IT企業が考える採用試験に迫る!
本書は「Cracking the PM Interview: How to Land a Product Manager Job in Technology」(原題『プロダクトマネジャーの採用面接を突破する――テクノロジー業界でプロダクトマネジャー職に就くには』)の日本語版です。IT系トップ企業のプロダクトマネジメント(PM)職に就く方法を詳しく解説しています。
この本はプロダクトマネージャーの採用試験対策本なのですが(僕もAmazonを受ける際に大いに参考にさせていただきました!詳細は下記記事を参照)、プロダクトマネージャーの仕事内容を知る上でも非常にオススメです。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
日本に足りないのはプロダクトマネジャーだ!
Amazon, Apple, Google, Facebook, Netflix, Teslaなど、最新技術で市場をリードする企業の勢いが止まらない。はたして、かれらはどのようにして世界中の顧客が欲しがる製品を企画、開発、そして提供しているのか。
本書はシリコンバレーで行われている「プロダクトマネジメント」の手法を紹介する。著者のマーティ・ケーガンは、成功する製品を開発するために
・どのように組織を構成し
・新しい製品を発見し
・適切な顧客に届けるのか
を、具体的な例を交えながら詳細に説明する。
長年シリコンバレーでプロダクトマネジメントに携わってきた著者によるプロダクトマネジメントの指南書です。
プロダクトマネージャーとして成功するために、プロダクトチームをどのように組織すべきか、プロダクトをどのように企画・デザインすべきかなどなど、具体例を交えながら詳細に説明されています。
また、英語力も併せて強化したければ、下記の英語版をAudibleを聞きながら読むのもオススメです!
How do today’s most successful tech companies—Amazon, Google, Facebook, Netflix, Tesla—design, develop, and deploy the products that have earned the love of literally billions of people around the world? Perhaps surprisingly, they do it very differently than the vast majority of tech companies. In INSPIRED, technology product management thought leader Marty Cagan provides readers with a master class in how to structure and staff a vibrant and successful product organization, and how to discover and deliver technology products that your customers will love—and that will work for your business.
平易な英語で書かれているので、多読初心者でも比較的入りやすいはず!
KindleとAudibleを併用した多読の効果については下記の記事を読んでみてください。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
プロダクトマネジメント入門講座
テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住14年以上、現在米系スタートアップで働く現役Principal Product Managerが具体的事例をもとに紐解きます。
これは在米14年で、シリコンバレーでプロダクトマネージャーを務める曽根原さん(@Haruki_Sonehara)が作成したプロダクトマネジメントのオンライン講座です。
プロダクトマネジメントに関して事前知識が無い方でも、プロダクトマネージャーの仕事の全体像から、基礎となる考え方やキャリアパスまで具体的に学ぶことができます。
曽根原さんから特別に割引クーポン(約20%オフ)を頂いたので、登録時に入力してください。
まとめ
以上、プロダクトマネージャーの仕事をざっくりと見てきました。
まとめると以下のとおりです。
- プロダクトマネージャーの仕事内容は業界・会社・チームによって異なるし、個人によっても違う
- 僕個人が現在携わっているのは
- ビジネスモデルの構築
- プロダクトロードマップの作成
- 機能の設計
- ビジネスケースの作成
- データ分析と改善案の策定
- その他、プロダクトマネージャーの仕事としてよくあるのは
- 他部署や社外との折衝
- プロジェクトマネジメント
- 部下のマネジメント
- プロダクトマネージャーはシステムエンジニアやコンサルタントのネクストステップとしてオススメ
- より深く知りたい人は書籍やオンライン講座を見てみてね!