
えーん、えーん。

イヌくん、そんなに泣いてどうしたんだい?

英語が聞き取れないよー!
ちっともさっぱり聞き取れないんだよー!

わかるー。英語のリスニングってほんっとに難しいよね。
僕もいまだに苦労してるもん。

えーっ!
お兄さんでも苦労してるの?

そうだよー。みんな日本語しゃべればいいのにっていつも思ってるもん。

ほんと、それだよねー。

まあ、嘆いていてもしょうがないから、リスニングのトレーニングをしていこうか。

はーい!
リスニングは難しい
英語のリスニング、ほんっっっっとに難しいですよね。僕はアメリカに来てもう5年以上になりますが、リスニングにはいまだに苦労しています。
TOEICのリスニングなら満点取れても、実際の会話であんなに分かりやすく話してくれる人ってそうそういないですからね。話し手によっては半分も聞き取れないこともありますし、大人数が参加する会議もかなり苦手です。
とは言え、1対1の会話であれば大抵の場合8〜9割は聞き取れるようになったので、僕がそこに至るまでのトレーニングをこれから何回かに分けてご紹介していければと思います。
まずはリスニングのプロセスを理解しよう
初回となる今回は、まずはリスニングのプロセスを説明したいと思います。
リスニングは超ざっくり言えば「聞く→分かる」ですが、その間のステップをもう少し細かく見てみましょう。そして、それぞれのステップで発生してくる課題とそのトレーニング方法を、次回以降紹介していければと思います。
ちなみに僕はこういう理屈っぽい話けっこう大好きなんですが、もし興味無ければ次の投稿にスキップしていただいても支障ありません。
でも、がんばって書いたので飛ばさずに読んでもらえると嬉しいです(笑)。
とりあえずチャートにしました
僕はとりあえず何でも図にするクセがあるので、今回もリスニングのプロセスを以下のように図にしてみました。
各ステップの説明
各ステップについて、以下で説明していきます。
音が耳に入る
まずは音が耳に入ってきますよね。この段階ではまだナマ音です。車のエンジン音やエアコンの音、ケータイの着信音等と同じ、ただの音です。
音を識別する
第2段階で、音を識別します。
ここで識別と言っているのは、聞こえてきた音を、自分の脳内の音声データベースにマッピングすることです。例えば「あ」の音は日本人であれば大抵「あ」にマッピングされます。
ここで英語を聞く際に問題になるのが、英語の音と日本語の音は必ずしも1対1に対応しないということです。もっと言うと、日本語の音にそのままマッピングできる英語の音なんてほとんど無いんです。
例えば、thankのth音(θ)なんて、日本語に無いですよね。
仕方がないので、多くの日本人の脳は、これらの「日本語に存在しない音」を、無理やり「一番近い日本語の音」にマッピングして処理します。
上の例のth音なら、ほとんどの日本人はサ行として識別するんじゃないでしょうか。一方で、sankのs音(s)も、日本人にはサ行として識別されてしまうんですよね。
“thank you”と”sank you”は、ほとんどの日本人にとってはどちらも「サンキュー」にしか聞こえない、ということです。(”sank you”なんていつ言うんだよっていうツッコミはさておき)
この、英語と日本語の音声データベースの違いをどのように克服するのか。これが英語リスニングの1つ目の課題です。
言語として認識する
識別した音の配列を、言語(英語)に変換します。
“θæŋk ju”という音の組み合わせから、”Thank you”という英語に戻すということですね。
これができるようになるためには、各単語が実際の会話の中でどのように発音されるのか、音の変化等含めて認識している必要があります。辞書通りに発音されると思ったら大間違いなんです。
これが英語リスニングの2つ目の課題です。
意味が分かる
英語に変換できてしまえば、あとはその意味を理解するだけですね。
ここで、リーディングと比較したときのリスニング特有の難しさを挙げるとすれば、以下の2点だと思います。
- 文字と違い、音はその場に残らずに流れていってしまう。意味が取れなかったので、前に戻ってやり直すということができない
- 自分のペースで読み進められるリーディングと違い、リスニングは話し手のペースに合わせて理解していく必要がある
要するに、流れてくる英語を前から順番に、かつスピーディに処理していく必要がある、ということです。これが英語リスニングの3つ目の課題です。
音以外の情報も活用しよう
ここまでは、聞こえてきた音だけから英語を理解するプロセスを説明してきました。実際の会話ではそんなことはもちろんなくて、音以外にも以下の例のような様々な情報を使って、各ステップの処理を行っています。
- 文脈
- 文法知識
- 語彙力
- 話し手の発音のクセ
- 話し手の性格
- 文化的理解
例えば、「店内が騒がしくてほとんど聞こえなかったけど、ステーキを注文しているんだから焼き方を聞かれているに違いない」みたいな感じですね。
飲食店やスーパーでの会話は毎回ほぼ定型なので、一旦パターンをつかんでしまえば相手の話をまったく聞いていなくても対応できてしまったりします。
まとめ
- 英語リスニングには以下の3つの課題がある:
- 英語と日本語では使用される音が全く異なる
- 英単語は実際の会話の中では辞書通りには発音されない
- 流れてくる英語を後戻りせずスピーディーに処理する必要がある
- 音声以外の情報も活用して、各ステップの処理を補完しよう
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