こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。
2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。
そんな経験を活かし、このブログではアメリカで就職するためのポイント、アメリカでの仕事や暮らし、英語の学習方法などについて日々紹介しています。
突然ですが、実は僕は大学時代ロボット工学を専攻していました(今の仕事とは1ミリも関係無いです)。
で、大学時代の友人(仮にK君としておきましょう)が最近、ロボットエンジニアなら誰もが憧れるアメリカの某超一流ロボティクス企業で現地採用を獲得したので、ちょっと話を聞いてきました。
採用の話やビザの話を根堀葉掘り聞いたので、アメリカ就職を狙う人にはかなり参考になるかと!
今回はいつもと少し趣向を変えて、インタビュー形式でお送りします!
東京大学大学院情報理工学系研究科でロボット工学の博士号を取得。日系メーカーに新卒入社し、二足歩行ロボットや自動運転の研究に従事。その後外資系企業のロボティクス部門にて二足歩行ロボットの研究に携わった後、2019年12月に渡米。現在、ロボットエンジニアなら誰もが憧れる某超一流ロボティクス企業にてシニアロボティクスエンジニアとして働く。30代後半。二児の父。
純ジャパロボットエンジニアが憧れの会社で米国現地採用を獲得するまで
記念受験のつもりでレジュメを送付。しかし・・・
以前は外資系の某大企業(以後A社)のロボティクス部門で働いてたんだけど、事業再編でやりたい仕事ができなくなりそうだったから、転職活動を始めたんだ。
基本的には日本国内の企業を受けてたんだけど、以前から憧れていたアメリカの某超一流ロボティクス企業(以後B社)も、せっかくだから受けてみようと思って。
ほぼほぼ記念受験のつもりでレジュメを送ったんだ。
でも、いくら待っても2ヶ月くらい何の反応も無くてさ(泣)。
「やっぱりダメだったかー」
って思って、普通に日本の会社を受けて。
何社かから内定をもらえたから、そのうちの一社に行こうと思ってたんだ。
どうしても諦めきれずにリマインドしてみると・・・
ただ、やっぱりB社のことがどうしても諦めきれなくて。
ダメ元でリマインドのメールを送ってみたのね。
そしたら・・・
「え?書類選考は通っていて、もう連絡が行ってるはずだよ?」
と言われ・・・。
どうやら人事が僕のメールアドレスを間違えてたみたいだったんだよね。
で、そこから採用プロセスを再開してもらって。
電話面接をして、その後オンサイトインタビューに行って、その1〜2週間後くらいにオファーをもらった感じかな。
採用プロセスが再開してからはかなりスムーズに進んだね。
アメリカ人、基本的に事務作業とかあまり得意でなく、人事のミスで連絡が来てなかった、みたいなことはざらにあります。
また、「リマインドが無いタスクの優先度はあまり高くないに違いない」という謎の判断基準を持っており、自分が依頼した仕事がいつの間にか無かったことにされていることも。
就職活動に限らず、アメリカ人に仕事を依頼する際にはちょいちょいリマインドした方がいいです。
アメリカの某超一流ロボティクス企業の採用プロセスを本邦初公開!
電話面接
書類が通った後、最初にスカイプで電話面接があったよ。
向こうは人事1人とエンジニア1人の計2人で、これまでにやってきたこととかを軽く聞かれて。
30分もかからなかったんじゃないかな。
正直、なんであれで合格だったのか自分でもよく分からない(笑)。
オンサイトインタビュー
で、次はアメリカのオフィスに呼ばれてオンサイトインタビュー。
ちなみにこのときのフライトやホテル代は、全て向こうが持ってくれたよ。
電話インタビューと打って変わって、オンサイトインタビューはかなりみっちり1日がかりで。
まずは、エンジニア10人ぐらいの前で、パワポ(事前に作成するよう言われてた)を使って20分間のプレゼンをしたんだ。
これまでにやってきた研究とかを、動画も交えてがっつりと。
プレゼン後に5〜10分ぐらいの質疑応答があったかな。
その後は1対1の面接が、1人1時間を5人。
面接内容はひたすらテクニカルなことで、面接の形式は人によってまちまちだったかな。
ただ口頭で説明させるだけの人もいれば、ホワイトボードに書かせる人もいたり。
実際に聞かれた質問は、例えば線形補間とかスプライン補間を行うプログラムを書け、みたいな感じだったよ。
言語の指定は無かったから、普段使ってるC++ベースに書いたね。
あ、1人だけマネージャーっぽい人が面接官にいて、その人には仕事の進め方やチームとの関わり方みたいな、ちょっとマネジメントっぽい質問をされたかな。
で、最後に人事の話があって、質問とか要望とか聞かれて、
「入れていただければ本望です」
みたいに答えといたよ(笑)。
面接の準備
大学の研究室の同期に問題を出してもらって、ホワイトボード面接の練習はしたよ。
あと、プレゼンはめっちゃくちゃがんばった。
スライド作り込んで動画もモリモリで、練習もみっちりやって。
さもこれまで凄いことをやってきたかのように見せるためにね(笑)。
純ジャパにとってオンサイトインタビューはやはり最大の難関です。
事前にできる準備は全てして、「もうこれ以上はできない」と言えるぐらいにまでしておきましょう。
下の記事に僕がAmazonの面接を受けたときに行った対策をまとめてあるので、良ければ参考にしてみてください。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
英語の勉強
いやー、めっちゃ純ジャパだよ。
数年前に最後に受けたTOEICは、一応800点台だったかな。
前職のA社でたまーに英語使うことはあったけど、チーム内は全て日本語だったし。
採用プロセスが再開してからあっという間にオンサイトインタビューになったから、英語の勉強する暇なんてほとんど無くて、英語面接ハンドブック的な本を読んだくらいだよ。
面接でも何回も何回も聞き返したんだけど、なんとか採用してもらえて本当にラッキーだったわ。
やっぱりビザが一番大変だった件
H-1Bビザ落選(泣)
いやー、それがめっちゃ大変でさ・・・。
正直、ビザが一番大変だったよ。
2月後半にオンサイトインタビューを受けて、3月頭にオファーをもらったのね。
で、B社から
「H-1Bビザ(就労ビザ)が取れれば、それが君にとって一番ハッピーだ」
って言われて、4月にH-1Bに応募したの。
で、6月に落ちたって分かって(泣)。
H-1Bビザは毎年4月初めにしか応募できないので、3月頭にオファーをもらえたのは、タイミング的にはめちゃくちゃラッキーでしたね。
ただH-1Bビザは、申請しても審査してもらうためにはまず抽選を通らなければならず、その倍率は3〜4倍と言われていて、かなりの運ゲーだったりします。
そもそもそんなビザが下りるかどうか分からない人材に対してオファーを出す会社なんて、そうそうありませんけどね。
普通の日本人が米国ビザを取ることの難しさ(無理ゲーさ)については下記の記事で詳しく語っているので参照してみてください。
こんにちは。ゆう(@honkiku1)です。 2013年に駐在員としてサンフランシスコに赴任したものの赴任先の支社が倒産。半年間に渡る就職活動の末、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。 そんな経[…]
B社に
「ビザ落ちたけど、どうしたらいい?」
って相談したら
「ちょっと次の手考えるよ」
って言われて、1ヶ月間連絡無し・・・(泣)。
お前が卓越しているという証拠を出せ
で、1ヶ月くらい待って、代わりにO-1ビザ(卓越能力者ビザ)に申し込むように言われたのね。
それで、7月からはひたすらO-1の書類作成だよ。
B社が雇ってくれた弁護士事務所から、
「とにかくお前が卓越しているという証拠を出せ」
って言われて。
論文や特許はもちろんのこと、自分が微妙に関わった研究の発表イベントの記事なんかも、手に入るものは全て弁護士に提出したよ。
O-1ビザは通称「卓越能力者ビザ」と呼ばれ、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で卓越した能力を持っている者を対象に付与されます。
例えば、アーティストが全米ツアーを行う場合や、有名な科学者がアメリカでリサーチに参加する場合などに使われます。
博士号を持っていて、国際的な論文を何本か発表していると意外に取れたりすると聞いたことがあります。
偉い人の推薦状をゲットしろ
もう1つ重要なのが推薦状。
「ロボット業界の偉い人たちから推薦状をもらえ」
と。
しかも、あまり偏ってちゃいけなくて、大学、企業、国内、海外などまんべんなく、6〜8人に推薦状をもらわなければいけないって言われて。
大学の研究室の先生方はもちろん、A社の上司やその前の会社の上司、ちょっとだけ知り合いだったヨーロッパの同僚など、持てる人脈を全て使って、なんとか8人に推薦状を書いてもらったんだ。
そうしてかき集めた書類の束、最終的には431ページにもなったよ(笑)。
それを提出したのが9月の終わりで、10月の中旬にはビザが下りたよ。
普通は2ヶ月ぐらいかかるらしいんだけど、特急料金を払うと2週間ぐらいでやってくれるんだって。
その後もろもろの準備をして、12月の2週目に渡米して、現地で働き始めたよ。
K君が就職活動を始めてからアメリカで働き始めるまでを時系列でまとめると以下のようになります。
足掛け1年以上に渡る長期戦でしたね。
———————————————–
2018年11月:転職活動開始
2018年12月:B社にレジュメ送付
2019年2月:リマインド・電話面接
2019年2月後半:オンサイトインタビュー
2019年3月頭:オファー獲得
2019年4月:H-1Bビザに応募
2019年6月:H-1Bビザ落選
2019年7月:O-1ビザ申請準備開始
2019年9月末:O-1ビザ申請
2019年10月中旬:O-1ビザ取得
2019年12月中旬:渡米
アメリカに来てみて
現在の働き方
二足歩行ロボットの動きを制御するためのソフトウェアを作ってるんだ。
ずっと憧れてた会社だし、周りのメンバーは引くほど優秀だし、めちゃくちゃ楽しいよ。
ワークライフバランスも良くて、朝9時ごろ出社して、だいたい夕方5時頃には帰ってるかな。
仕事を持ち帰って家でしてる人もいるのかもしれないけど、会社からは極力仕事は持ち帰らずに会社で終わらせるようにって言われてるよ。
仕事の進め方は、良く言えば「勢いがある」し、悪く言うと「とっちらかってる」かな。
日本みたいに事前にレビュープロセス等をしっかり定義してルールを決めて、みたいなことはしなくて、
「とりあえず細かい事は気にせずにガンガン行こうぜ!」
みたいな。
日本の情報系の学部できちんとソフトウェア開発とかを学んだ人が見たら卒倒するレベルかもね(笑)。
日本のエンジニアへのメッセージ
就職活動中はいろいろ大変だっけど、いまは理想の環境で働くことができていて、思い切ってチャレンジして本当に良かったなって思ってるよ。
日本の人たちも、記念受験感覚でどんどんチャレンジしてみたらいいんじゃないかな。
まとめ
以上、K君のインタビューをお送りしました。
今回、K君が見事にアメリカでの現地採用をゲットできた成功要因は、まとめると以下の通りかなと思います:
- 記念受験感覚でとにかく応募してみた
- 先方から連絡が無くても諦めずにリマインドした
- 面接の準備を徹底的に行なった
- これまで築いてきた人脈をフル活用して各界からの推薦状をゲットした
このブログでは常々「日本から直接アメリカの現地採用を獲得することは難しい」と言っていますが、K君のように強みとなる専門性があれば必ずしも不可能ではありません。
もしアメリカにやりたい仕事や勤めたい会社があるのなら、K君のように記念受験気分でチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
失うものは何もありませんよ!